ちょっと残念な多治見駅前スーパーの閉店

プチニュース
<再開発後の多治見駅前>

photo by S.Nozaki

整然と綺麗に整備された、が・・・

 

~人口減だけの問題ではない要因がありそう~

我が故郷多治見は人口が約11万人の名古屋のベッドタウンとして位置づけられているが、もともとは地場の陶器産業が盛んであり、優良な中堅企業(スーパーマーケットのバロー等)もいくつか本社を置き、地方力が強い都市である。数年ほど前にはトヨタのサービス研修センターが愛知県日進市から移転してきたりもした。

<多治見市街地 遠景>
・人口は2000年の116千人をピークに徐々に減少気味

ネットより

そんな多治見の駅前には、億ションも含むタワマン・地方都市には大仰かなと思われる駅ビルが2022年再開発され、それに伴って、駅周辺には新しいおしゃれな飲食店もオープンした。地元民としては悪い気はしなかったが、こんなに金を注ぎ込んで大丈夫かなとの小さな懸念はあった。そして先月、突如(まあ、普通予告はしないと思うが)、その駅ビルに入っている大型スーパー「三河屋」が閉店するとのニュースが流れた。オープンして僅か1年だ。これにはびっくり!おしゃれな喫茶店やスポーツジム、スーモ、ドコモショップ、100円ショップ等、徐々にテナントが埋まってきていたので当初心配していた「オーバースペック」も乗り越えられるかな~と安心し始めた矢先だ。

<突然の多治見駅前スーパー「三河屋」閉店のニュース>
・いつも空いていて快適だと冗談を言ってる場合ではなくなった

【多治見市】衝撃…えっ、嘘でしょ? プラティ多治見内のスーパーがオープンわずか1年2か月で閉店。(masancos) - エキスパート - Yahoo!ニュース
え? 嘘でしょ? GWが始まったばかりですが、耳を疑うような衝撃のニュースが飛び込んで来ました。2023年3月25日にグランドオープン、3月に1周年を迎えたばかりのプラティ多治見。その中にあるスーパー

地元の床屋さんに聞くと、家賃がバカ高すぎてテナントが入れないとの声が多いそうだ。その為か一年経った今でもいくつかのテナントスペースが空だ。追い打ちをかける様に「三河屋」の撤退により、総売り場面積の3割位が空くであろう。前市長さんが頑張って取り組んでいた再開発だけにこれから対策は打っていくとは思うが、素人目にも大型開発に伴うテナント料の高騰が影響していそうだなと映ってしまう。旧駅(隣の)ビルは、いつもお年寄りで賑わう昭和風の喫茶店、売り場面積が小さすぎて何屋さんだか分からない雑然としたスーパーマーケット、何でも引き受けてくれる靴の一坪修理店、ちょっと時間つぶし出来る小さな本屋、そして花屋さん・和菓子屋さん・季節ごとの商品を出してくれる出店等々、結構賑わっていた。建物自体は耐震基準を満たさないボロボロなものであったが、何とも味わいのあるこってりした昭和風の稀有な空間であった。残念ながらその旧駅(隣)ビルから新駅ビルに移ったお店は1-2軒程度だ。バカ高いテナント料ではやっていけなかったと言うことなのだろう。

しかし、新しく入ったテナントが魅力的かと言うと、わざわざ駅前である必要があるのかちょいと疑問だ。この辺りは郊外型のスーパー「バロー」が住民の台所となっているし、数年前には隣町にイオンも出来た。国道19号線沿いには様々な大型店が軒を連ねている。駅ビルには数階建ての駐車場が備わっているが、利便性では郊外店に軍配が上がる。更に悪いことに、駅へのバスのアクセスが大幅改悪。我が団地からは、3本のルートが統合されて駅までの所要時間が今までの倍以上かかるようになり、かつ本数も減少。今までは駅前に一寸一杯ひっかけに行こうと足を運んだこともあったが、もう億劫になってきた。公共交通機関に頼るお年寄り(自分もですね)にとっては駅前が遠くの街の様に感じられているのではないだろうか。まあ、郊外型の店舗を駅前に持ってきても魅力がないと「三河屋」さんは、いち早く察して撤退を決めたんでしょうなぁ~。その判断の速さはご立派!

<我が団地から駅へのバス 土日祝日>
・一時間に一本!運転手さんがいないらしい

photo by R.Nozaki

一方、新しく出来た駅前の路面店、「鳥貴族」と「串カツ田中屋」はまずまず繁盛しているし、近隣の路面店居酒屋は息が長いお店ばかりだ。人口11万人都市程度の駅ならば、その乗降客数とテナント料等の固定費等から丁寧に考え抜けばいろいろやり方に小回りが利くのでしょうね。その点、大きなお店・組織は難しいのでしょう。意地や面子があるしね。だから今回の「三河屋」さんの決断の速さには本当にびっくりです。ある意味賞賛かな?撤退は残念ではあるが。遅れれば遅れるほど傷口は酷くなる。

<駅前路面店 昼呑み可>
・駅前ではこういうのが長持ちするのです。こういうので良いんだよ

photo by S.Nozaki

サラリーマン時代も、「何でそんな無謀で無鉄砲な計画を立てられるのだろう!?頭の中を分解してみてみたい!」と腰を抜かすようなことを何回も経験したが、トップ又は組織が決めればそれはスタートしてしまう。しかし、個人経営者は本当に死活問題なのでそうはいかない。都市計画にもいつも甘さが残るのは同じ構図が此処にあるからだろうね。もっとアクションに真剣みと小回りを利かせられないのかねぇ~。

それにしても旧駅ビルのテナントの皆さんは何処に行っちゃったのかなぁ~。場末感漂うラーメン屋さん、おっちゃんが親切で好きだったけどなぁ~。(なお、今回の件、私はクレイジーなアイデアが一個あるんだけど市長さんは聞いてくれないでしょうなぁ~、絶対。太陽光パネル設置している場合じゃないぞ!)

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