photo by S.Nozaki
実物も爽やかで誠実そうな日本人青年でした
~爽やかに心に残る思い出に~
亀井聖矢(まさや)、22歳、ピアニスト。知る人ぞ知る天才らしいが、「彼が多治見バロー文化会館でソロコンサートを開催するの!」と妻が興奮気味に話すのを聞くまでその名は知らなかった。多治見には時折著名な音楽家が来られて市民を楽しませてくれる。文化活動に力を注いでいるバロー(当地区のスーパーマーケット)さんのお蔭でもあるだろう。今回は彼の若さに関心があったし、たまには妻とコンサートに行くのも良いなと思いチケットを手配してもらい、8月26日当日、八ヶ岳から駆け付けた。
<文化会館まえで会場を待つ人々>
・女性が多いですなぁ~、やはり
良かった!まるで壮大なドラマのように生き生きとした、そして力強く語りかける演奏は本当に素晴らしく、夏の終わりのとても印象深い思い出となった。会場が満席になったのも頷ける。
彼の優しさやユーモアのセンスを垣間見られたのも、コンサート会場ならではの楽しさだった。コンサートでは遅れて来た人達は会場の入り口で待機して曲間に席に着くのが常であるが、亀井さんが次の曲に入ろうとしても未だ席を探しているカップルがいた。それが彼の目に入ったのであろう。会場の人達に『ちょっと待ってね』の仕草をして笑いを誘いながら二人の着席を待っていてくれた。おそらく、『皆全員揃ってから皆で楽しんでくださいね』と言うプロの優しい気持ちの表れだったのだろう。もっとも、待ってもらっていたカップルは何も気づいていないようだったけど。
そして最後の曲「戦争ソナタ」が終わると、案の定拍手の嵐でアンコール。再度登場してくれた亀井さんはピアノの上に予め置いてあったマイクを取って少しお話をしてアンコールに応えてくれた。マイクが用意されていたのにはクスリと笑ってしまったが、その素人っぽい誠実そうなおしゃべりを聞いて、小椋佳さんがNHKで初めてコンサートを催された時のことを思い出した。その時も最後の曲の後、拍手が鳴りやまず、再び登場した小椋佳さんが「実は、アンコールがあったらどうしようか、考えてはいたんです」とボソッと告白した時は、会場大爆笑だった。
アンコールの後、亀井さんには再度の拍手の渦。おそらく聴衆はあの「ラ・カンパネラ」を待っていたんだろうと思うが、再再度登場してくれた彼は、右手の人差し指を立てて『最後に、本当に最後に1曲・・・』とジェスチャーすると会場からは笑いも。そして期待通りあの「ラ・カンパネラ」で会場全員の心を打ち震わせてくれた。最後は全員スタンディング・オベーション。最前席の女性はハンカチで目元をぬぐっていたなぁ~。小椋佳さんはアンコール二曲目の時は、「もう聞いていただくには限界超えていますけど、本当に、本当に最後に幕は降ろしていただきます」と懇願して会場の笑いを誘っていた。その最後の曲は「さらば青春」。
私の中では、ピアニストとシンガーソングライターの二人が重なる。分野は違えども、人柄に魅かれる。
<亀井聖矢氏のラ・カンパネラ YouTubeより>
・あの辻井伸行氏やフジコ・ヘミング氏の代表曲でもある
<若かりし頃の小椋佳氏の「さらば青春」>
・この歳になるとことさら心にしみわたるなぁ~
会場全体がカジュアルなことも良かった。ジーパンやTシャツ姿も違和感なく馴染んでいた。この辺りが多治見バロー文化会館の良さでもある。帰路、私は駅前の「鳥貴族」で一人一杯やって余韻を楽しんだ。こんなことも地方都市多治見の捨てがたい魅力かなと改めて思った次第だ。
なお、妻はもう少し会場で余韻を楽しみたかったそうだ。急かして帰路に着いてごめんなさい。既に頭が焼き鳥とビールにシフトしていたもので。
なお、亀井さんは9月1日沖縄でのコンサート終了後、留学先のドイツに戻るとのこと。また何年か後に多治見に来てくれたら嬉しい限りだ。
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