秋田・弘前 呑み鉄ツアー(その二)

小さな旅
<雪のない冬の車窓風景>

photo by S.Nozaki

遠くに見えるは八郎潟の埋め立て地。埋め立て前は琵琶湖に次ぐ大きさであった

 

~雪のない弘前 秋田に劣らず美人揃い~

呑み鉄ツアー二日目は秋田から弘前まで特急「つがる」で移動。弘前をぶらぶらした後はローカル線で新青森まで出て、東北新幹線「はやぶさ」で帰路に着いた。「つがる」では車窓の雪景色を肴に朝飲みを楽しみにしていたが全くと言っていい程白いものがなかった。本当に珍しい冬だ。朝の「つがる」は出張仕事らしき方々も乗り合わせているので遠慮がちに呑み鉄を楽しんだ。本当にいいもんです、電車に揺られながらほろ酔いになるのは。それも朝からという贅沢。雪はなかったけれども、清楚で雪の様に白い肌の女性車掌さんが乗客のお世話をされているのを眺めて年甲斐もなくワクドキした。雪国の人は男女問わず色白で肌が透き通るように美しい。私の様に運動と果樹園の仕事で真っ黒かつシミだらけの人間からすると何とも羨ましい。この車掌さん、特急「つがる」乗車のいい思い出になりました。また、地方の特急は停車する駅に味がありますね。寅さんや健さんが佇んでいても違和感ないよね。
外国の方もちらほら乗車してたが、英語のアナウンスがないのが残念。先日、高山に行く際に利用した特急「ひだ」では岐阜高校英語部の生徒がきれいな英語で観光案内を入れていたが、同じように地方でも工夫したらいいのにね。特にここは世界遺産「白神山地」があるんだから。

<私のお気に入りYouTubeの一つ「スーツ交通」>
・この方凄い行動力。どこにでも出没してます。なんと多治見にも

弘前は旧帝国陸軍第八師団の本部が置かれていた街だ。この師団の中の歩兵第五連隊が八甲田山で雪上行軍を行い、ほとんどの隊員が遭難死した歴史は広く知られており、新田次郎が小説にも書いている。映画では高倉健の「天は我らを見放した」と言うセリフが有名だ。今回は同行の仲間のお爺さんが、この第八師団長官であったことで旧本部跡を訪ねてみることとなった。市の施設ではあるが、今はスターバックスに貸し出され、サラリーマンの息抜きや受験生の勉強の場となっていた。雪中行軍が行われたのは1902年、北のロシアの脅威が切羽詰まっていた頃だ。それに対抗すべく十分な装備もなく、体感温度がマイナス50度となる中、命を落していった兵隊さんを思うと何とも言葉がない。今の平和に感謝だ。
この旧師団本部の目の前が弘前城だ。桜が有名でその時期になると必ずテレビのニュースに登場する。今は、雪灯籠ライトアップが観光の目玉となる季節だが、残念ながら地元の人が「こんなことは今までなかった」と驚くほどの雪不足である。次に観光客で賑わう時期に向けて、桜の小さなつぼみはひっそりとじっくりと開花の準備をしている。満開の時期を想像しながら城内を散策した後、ローカル色こてこての銀水食堂で昼食を楽しんだ。もちろんビールもお供に。まさしくいぶし銀の食堂であった。

<旧第八師団本部 現スターバックスコーヒー>
・中の造りにはそれらしき構造が残っている

photo by S.Nozaki

 

<お堀端の桜の木々>
・冬の桜は決して美しくないが、だからこそ春は一層絢爛に映る

photo by S.Nozaki

 

<これぞ地元店「銀水食堂」>
・中華そば 500円、やきそば 600円、ビール中瓶 500円

ネットより

昼食後、弘前駅から新青森までは各駅列車で向かった。車内はやはり男女問わず肌がきれいな人が多い。当然美人も多い(と感じた)。お年寄りも素が綺麗である。日照時間が短いため肌が白いと言われているが、どうだろうか?八ヶ岳南麓は日照時間日本一長いんですけど。

<青森らしい自動販売機>
・林檎、リンゴ、りんご

photo by S.Nozaki

新青森では「はやぶさ」に乗り換え一気に東京へ。乗り疲れもあったが、やはり呑み鉄は楽しい。途中仙台で停車した時は、何度か訪れたこの街での思い出を懐かしく振り返った。川崎から自転車で三日かけて親戚の家までたどり着いたこと、家族で松島を観光したこと、太田和彦が紹介していた「源氏」へわざわざ飲みに行ったこと、震災後奇跡の一本松を訪れたこと等、結構縁のある街だ。ほろ酔いの時はこうして思い出が引き出しからどんどん出てくるものだ。
東京駅では少し時間があったのでぶらつこうかと思ったが、あまりの人の多さに別の酔いがやってきてしまった。もうこの街には住めないだろうな。時折遊びに来るのは楽しそうだけど。次の特急「かいじ」を待つ間、東京ステーションホテルのバーオークで静かに飲んで時間をつぶした。此処は駅の雑踏がすーっと途絶えて落ち着ける場所だ。まさしく別世界。17:00開店も嬉しい。我々が入店すると既に女性が一人で窓の外の夕暮れビル群を眺めながら静かに飲んでいた。絵になる。その後も、一人で来られて2-3ショット嗜んですーっと出て行かれる方がいた。仕事帰りだろうか。かっこいいスマートな大人の呑み方ですな。

オーク |東京ステーションホテル【公式】
赤煉瓦を活かしたインテリアが上質な時を演出している、バー「オーク」。流れる時間に身をまかせて、厳選されたウィスキーを心ゆくまでお楽しみください。

呑み鉄も一つのスタイル、バーで一人たしなむのも一つのスタイル。どんな飲み方にしても、周りに迷惑をかけず、その人が素敵な幸せな時間を過ごせればお酒は百薬の長になるんじゃないかな。アルコールを100%毒みたいに言うYouTubeもあるが、ちょっと余計なお世話かな。身体が辛ければ飲まないし、身体が調子よければ酒は美味しいものだ。横山大観は毎晩一升晩酌していたと聞くが、健康のために止めたとたん90歳で亡くなられた。

楽しい二日間でした。八ヶ岳でこの呑兵衛達に出会わなければ、こんな旅をすることは出来なかったかもね。感謝です。
さて次回はどんな旅にしようかな~?寝台特急「サンライズ」の中でゆっくり飲むのも良さそうだな。

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