冷やし中華で思い出すあの夏

小さな旅
<南麓自炊メニューに追加 冷やし中華>

photo by S.Nozaki

☆人生これからも思い出作りだ!

最近冷やし中華に凝っている。麺と汁は「マルちゃんの冷やし生ラーメン」を使い具材は一応私が用意する。きゅうり、トマト、ロースハム、薄焼き卵、紅生姜、海苔と胡麻を添えるとなかなか本格的な味わいとなるので、嬉しくなってしまう。いくつかポイントも学んだ。麺を茹でた後冷水にさらすだけでなく10分位冷凍庫に入れて汁をかけてほぐすと汗がす~っと引くような冷感になる。薄焼き卵は早めに焼いて丁寧に切り刻んで冷ましておくと他の具材と馴染みやすい。きゅうりを細く刻むのが未だ上手くいかないが、結構満足しており、南麓デュアルライフメニューに加えようと思っている。果樹園の仕事で汗を流しシャワーを浴びてさっぱりした午後、窓の外の入道雲を眺めながら食べると遠い夏の思い出が蘇ってくる。

<南麓に連日現れる入道雲>
・冷やし中華と相性バッチリ⁉

photo by S.Nozaki

1974年高校2年の夏、自ら立ち上げた「自転車同好会」の仲間一人と川崎~仙台間をチャリンコで往復した。当時は自転車で日本一周をしようと無謀なことを考えていて、その練習としてテントと簡単な生活用具を愛車の荷台に乗せ8月1日二人で川崎を後にした。仙台に従妹一家がいたので其処に泊めてもらうことになっていたが、今考えると甚だ図々しく迷惑な話だったろうな~。親も『この子には何を言ってもしょうがない』と諦めていた。その頃の高校生はそんなもんだったと思う。今は皆真面目だよなぁ~。

ひたすら国道6号線を北上し、雨に降られた一日目は北茨城市の旅館に宿泊。雨の中の宿探しは結構大変で、やっと安い宿泊料のホテルの看板が目につき、そこに男二人で泊めてくださいと入ったところ、女性従業員の方が大変驚いた様子で「ここはあなた達が泊まるとこじゃないのよ。○○と言う旅館が近くにあるからそこに行きなさいね」と親切に教えてくれた。今考えるとそこは、逆さクラゲ、ラブホテルだった様だ。確かに派手な看板や入り口には違和感を持ったものの、当時の高校生はまだその方面には疎かったからね。

<こんな格好をした男が二人>
・ホテルの人はびっくりしたろう

photo by C.Kodaira

二日目に初めての野宿をした場所の記憶はあいまいだが恐らく福島県浪江町の公園だったと思う。怖さや緊張でよく眠れず夜が明けて道中ドライブインでぐったりして休んでいると、トラックの運転手さんから「お前さん達、何やってんの?」と声をかけられた。事情を話すと頑張れと応援してくれて食べ物をご馳走してくれた。それまでトラックの運転手さんはこわもての近寄り難い人との印象だったので、人を印象で判断してはいけないことを実践で学ぶ良い社会勉強だった。

三日目の昼には阿武隈川を渡り宮城県に入った。川を渡り終えたところにラーメン屋「網走」の看板を見つけ入店した。そこで目についたのが「流氷ラーメン」いわゆる冷やし中華だったと思うが、真夏の太陽の下で自転車をこぎ続け身体全体が火照っていたし、何より空腹だったので五臓六腑に沁み込むように最高に美味かった。今でも店の名前を憶えているのは余ほど印象に残っていたからなのだろう。その後無事仙台の従妹の家に到着し一晩お世話になり帰路についた。途中野宿時に変な奴に絡まれながらも川崎に無事戻り、翌日からバスケット部の合宿に合流した。この自転車での仙台往復の前の7月下旬は山岳部の合宿で後立山縦走を終えたばかりであったので、良く体力・気力が続いたものだと今も当時の自分に感心している。あれは本当に私だったのか?

<おそらく松島の公園で>
・帰路に着く日だったと思う

photo by C.Kodaira

この頃は、体力・好奇心・冒険心がピークだったような気がする。歳と共にそれらが衰えていくのは仕方がないことだが、そんな過去の自分が存在していたことを思い出しながら、現在の下り坂を少しでも緩やかに歩んで人生を楽しみたいものだ。

冷やし中華を食べるたびに、そのピークであった「あの夏」を時折思い出す。自分で冷やし中華を作って食しながら改めて「あの夏」をなぞり返してみると、既に衰えてしまった体力・好奇心・冒険心がチクチクっとくすぐられる。これからも出来ることは何でもやってみよう!と。今年はアメリカへ大きな旅をするのだ!三年連続の諏訪湖徒歩一周も完遂するぞ!

ところで、あの出発の時、あきれ果てた母が「牛乳の類はお腹を壊すかも知れないから水が一番。水以外はサイダーが良いよ」と注意してくれたので、道中はやたらと三ツ矢サイダーやラムネ等の炭酸飲料ばかりを飲んでいた。夏になるとビールばかり飲んでいるのはその原体験があるからかも知れない。

<ガソリンスタンドは安全な休憩場所>
・母の教えに従ってサイダーばかり飲んでいた

photo by C.Kodaira

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