目覚ましとテレビのない世界

photo by S.Nozaki

～鳥のさえずりと共に起きる毎日～

東京に単身赴任していた頃も早起きの習慣があり、およそ5時にはゴソゴソと何かを始めていたが、此処、高根町では今４時には起床している。空が少し白んでくると鳥のさえずりが聞こえ始め、ウグイスが鳴き始めるとどんな寝坊助の鳥も活動を始める。これらのさえずりは自然からの贈り物「目覚まし時計」だ。本当に心地よい。多治見でもウグイスはよく鳴いてはいたが、此処では多種多様なさえずりを聴くことが出来る。そして時折、遠くから「ギー！」とけたたましくキジが鳴く。我が家の庭やテラスにも多くの鳥がやってきて一日の餌探しを始める。

＜林の中からさえずりのオーケストラが聞こえる＞

自分も食事の準備を始める。農園での仕事は早いときは６時スタート、普段は８時からだ。十分時間があるので先ずは好物のココアを優しく胃に流し込み覚醒。そしてトーストを二枚、チーズをのせたりゴマペーストを塗ったり、時には納豆をはさんだりして、それなりに栄養のバランスを考えながら（あんまり考えてないか）ゆったりと時間を過ごす。ヨーグルトは毎日必ず食べる。年を取るとタンパク質が不足すると聞いているので、卵や粗挽きウインナーなども添える。

多くの人は朝食をとりながらNHKニュースなどを見るのであろうが、我が家にはテレビがない。テレビ番組の偏向報道・傲慢な物言い・バラエティーの阿保らしさ等々に、随分前から辟易として全く見なくなった。その代わりYouTubeで知りたい情報をいろいろな角度で調べている。それが朝食時の日課だ。毎日必ずチェックするのが、DeepMax「妙佛」だ。中国情報に関しては、最新・的確で、考察も的を射ているので大変参考になる。自分も北京に６年住んでいたからそれなりの知識はあるが、この方の情報の深さには舌を巻く。こういうのを諜報って言うのかな。結果、中国への投資は今控えているし、中国偏向の政治家も大体目星がついてきた。

もう一つYouTubeでチェックしているのは、定年後の人達の動画だ。「年金ヒトリ暮らしの６６歳」「ふじケン」「夢見るジジチャンネル」等が最近のお気に入りだ。とても親近感があり、言われていることに「全くその通り！」と膝を叩くことしばしばだ。先日「ふじケン」さんが定年退職後の孤立危険度チェック10項目に言及されていた。当てはまる数が多いほど危険だそうです。
「妻との会話より、TVに話しかける時間が長い」には笑ってしまいました。やっぱTVは良いことが少ないですな。
ちなみに私に当てはまったのは、⑩だけですな。妻はどう思っているかは別として。

こんな感じで時間をかけた朝食が終わると、あちこちで草刈り機の音やトラクターのエンジン音が聞こえるようになり、田舎の活気に包まれる。この時が私のコーヒータイム。今日は農園の仕事は何かを確認しながら、終わったら一番搾りにしようか、ワインにしようか、つまみは総菜セットでも買うか、いやとりモツだ～・・・などと計画（？）を立てて仕事に向かう。私の落ち着いた一日のスタートだ。

東京にいる頃、コンビニでコーヒーを買い求め急ぎ足で職場に向かう人々を眺めて、「ああ、一日が始まるな～」と気持ちが起き上がるのも好きだったが、今は人生で最も落ち着いた活気ある朝を感じている。まあ、時々都会の朝も恋しくはなりますが。何しろ歩いてコンビニまで３０分ですから。