photo by S.Nozaki
大きいものは20~30メートルに達する
~北杜市の山林は栗だらけ~
北杜市のこの時期(9月下旬から10月中旬)、散歩道・林道沿い・雑木林の中、そして我が家の裏庭等々、あらゆるところに栗が実を落とす。いわゆる「山栗」である。市販されているものよりは小粒であるが色艶は自然のものらしい鮮やかさがある。農作業車に潰されてはみ出た中身は正しく栗色、美味そうだ。しかし、落ちた実は放置されている。栗拾いしている人を見たこともない。
<道端の栗の行列>
・拾って持って帰ったらダメなのかしら?
<小粒だがしっかり詰まった実>
・こんなのがそこいらに中に転がっておる
実家のある多治見では、この時期は東農の「栗きんとん」が旬の食べ物となる。収穫したての栗を蒸してすぐにすり潰しお菓子に仕立てる。正月に食べる栗きんとんとは大違いで「生もの」である。日持ちはせいぜい2-3日。素晴らしく美味しい。当地農業試験場で見た栗は丁寧に育成されて、山栗の倍くらいの大きさだった。商品化のために相当人間が手間暇をかけているのだろう。恵那から中津川の国道19号線沿いにはそんな栗畑が散見される。
<恵那 川上屋の栗きんとん>
・初めて食べた時の衝撃は忘れられない!
一方の山栗は全くの野生。野放図に育ち、丈は20メートルを超えるものも珍しくない。摘果などをするわけもないからイガが鈴なりで、中身も小粒になってしまうのだろう。多治見で美味しい栗きんとんを時折食していたから、ここ北杜市でわざわざ山栗を拾って食べるつもりもなかったが、果樹園の仲間が、近くの山でわんさか採ってきておすそ分けしてくれたので、茹で栗にしてみた。これが小粒だが野生の美味さがあり、ピーナッツを食べる様に一気に一山平らげてしまった。そう、野性味だ。
ちなみに私のレシピは次の通り簡単。
① ボールで水洗いし、1-2時間水につけておく
② 全体が沈むくらいの量の水から徐々に沸騰させ、45分間茹でる(粒が小さめなのでこれで十分)
③ 途中でお湯が蒸発していくので、少しづつお湯を足す
④ 茹で上がったら、ざるに流し粗熱を取る
⑤ ホクホクしているうちに、ホクホクと言いながら食べる(多少お行儀が悪くてもよい)。意外とワインにもあう
⑥ 冷めても結構うまい
<ホクホクに茹で上がった山栗>
・艶が良いですよね~
山栗は縄文時代から人々の貴重な食糧であったと聞くし、カロリーも高く、ビタミンC/カリウム/食物繊維等の栄養素が豊富で優秀な食品だ。八ヶ岳南麓は縄文時代の遺跡が多く、昔から多くの人が住み着いていたらしいが、こうした豊富な食材があってこそだったのだろう。そんな思いを巡らすと、道端に無造作に転がっているイガ栗を見ていると「すいませんね~、粗末にして」と言った気持ちにならなくもない。何故、皆さん、栗拾いしないのかな?イチョウ並木が真っ黄色に色づく頃は、あの独特の臭いの中、皆さん銀杏拾いしていますけどね。
道端のタケノコやワラビを引っこ抜くと「そりゃ、うちんだ!」と怒られることがあると聞くので、縄張りがあるんでしょうかね。その辺りのルールを知っておくことも必要なので近所の人に聞いてみよう。
<一粒一粒、小粒で中身ぎっしり>
・縄文時代はどうやって食べていたんだろう?
山栗の野性味が気に入った私は、来年以降(縄張りのありそうな)道端は避けて、山に入ってお恵みを頂戴しよう。縄文人の気持ちにもなれるでしょう。
でも、熊に出会って彼らの恵みにならないように気を付けないとね。数年前、近所で熊が目撃されたと聞いておりますので、はい。
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