人生「止める」ことも歩みの一つ

人生雑感
<巳年元旦 多治見の団地より御岳と市街を望む>

photo by S.Nozaki

この景色は多治見へ家を構えてからず~っと変わらない癒し

 

☆2025年は一歩一歩下り坂を進むのだ!

12月31日、南麓我が家の裏手にある神社にて、今年一年無事に八ヶ岳南麓で楽しく過ごせたことを感謝し、実家の多治見に向かった。無事と言っても、寄る年波からくる、膝の痛み・頸椎ヘルニアの痺れ・坐骨神経痛・食道炎の不快感・眼圧低下の不安感等々、挙げればきりがない位肉体的にはしんどい一年であった。にもかかわらず、結果的に無事に過ごせたのは、仕事面でも生活面でも「止める」ことが出来る様になったからだと思う。

<裏手にある静かな神社>
・小さくやや寂れ感がありますが大切にされています

photo by S.Nozaki

会社員時代の自分は、体育会系の出身者に有りがちな猪突猛進、兎に角前に進むことしか考えずに、風邪をひこうが、手術の後だろうが、胃がよじれようが、お構いなしに仕事に「強行」に向かったものだ。自分だけでなく、周りの仲間もそうだった。結果、心身が鍛えられた面もあるが、やはり老体になるとその影響か、あらゆる所が駆け足でガタガタになっていく気がする。だから、今は良い意味で「止める」行動をとる様に心がけている。

例えば、果樹園の仕事で腰や膝に悪いものは辞退させてもらっている。坐骨神経痛が突如現れた時は、長男を訪ねるサンフランシスコ旅行は涙を呑んで急遽キャンセルした。もう「強行」することは止めた。過去を振り返ると、あの時、休んでいたらあんな辛い思いをしなくて済んだろうになぁ~と思うことがいくつもある。仕事の忙しさや周辺の雰囲気から、なかなか「止める」ことに踏み切れなかった時代があったわけだが、今は有難い環境の中で、「止める」人生を歩むことが出来始めている。それは人付き合いも一緒だ。この人は無理だなぁと感じる人とは一線を画し、関係者に迷惑が掛からない程度の付き合いにしている。

言い替えると、会社員時代は、自分がいないと仕事が回らない・ここで止めたら投入コストが無駄になる・やらなければ男が廃る・この人を扱えるのは自分しかいない等々、独りよがりの責任感を空回りさせていたのだろう。もっとスマートに振舞えばよかったなとつくづく思うが、その「独りよがり」の中で得難い経験と知見も得たことも事実だ。だから、昨今の働き方改革の流れを見ていると、日本の将来大丈夫かなとも感じてしまう。これも独りよがりかな。

若い時は、がむしゃらでも良いかも知れない。でも、人生のピークを過ぎて下り坂に差し掛かった時は周辺の景色も広がって見えてくるわけだから、じっくり考え何が自分にとって良い事か、都度立ち止まって考え、次に進む、時には引き返す、そんな歩みが肉体的にも精神的にも充実した人生につながるのだと思う。

そんなことを年末からつらつら思いながら、デュアルライフを始めた時の私の三つの方針を振り返ってみた。

1. 身体を使う

昔は体力があったので、そのノリで老体にも関わらず使いすぎた様だ。先輩にも「お前はすぐフルスロットルまで吹かすから身体には気を付けろ。確実に排気量は小さくなってんだぞ」と諭されていた。蓋し名言。今は身体の使い方を適度に修正中、「止める」も実践中だ。この点、果樹園のパート仕事を大変柔軟に調整してもらって感謝している。多治見でパート仕事についていたらこうはいかないだろうな。そして身体のガタを一つ一つ治めることで心の安寧を得る様に過ごしている。毎朝の柔軟体操・ストレッチ・腕立て伏せで身体の暖機運転を行っている。これが意外な効果を発揮しつつある。

2. 頭を使う

昨年春からYouTubeを始め、これがなかなか良い頭の体操となっている。最初の頃の動画は顔から火が出るくらい恥ずかしい内容だが、いろいろ編集方法を勉強し39話まで進んだ今は「結構やるじゃん」と自画自賛することもある(笑)。今年は週一で動画アップしたいが、毎日漫然と暮らしているとテーマが無くなるだろうから、これも頭への適度な負荷になりボケ防止にはなりそうだ。
果樹園の仕事においても、サクランボの剪定をする意味は何だろう・洋梨はどんな密度で芽摘みをするのだろう・桃の定植の水平位置は難しいな等々を考えるとそれぞれ理由があり面白いし知識になる。果樹園のパート仕事は身体と頭を使う点でデュアルライフには結構お薦めだ。加えて、様々な、時には変わった方とも知り合える。

3. お金も(賢く)使う

定年を迎えるとストックを切り崩す怖さがあり、なかなかその領域に踏み切れない。しかし、二年弱南麓に住んでみた結果、果樹園の収入約75万円/年でデュアルライフコストを賄えることが分かり賢くお金を使う基盤は出来た。健康のことも考え、偏食にならない様に食材・水にコストをかけながら自炊も結構楽しくやっている。坐骨神経痛の治療では「広島のゴッドハンド」の弟子が新宿で経営している鍼治療院まで特急「あずさ」で通っている。治療代より交通費の方がかかるけど、いやぁ~、効果にはびっくり。やってみるもんです。
当初は、旅行やグルメにお金を使おうと考えていたが、先ずは健康のために使うのが賢いでしょうな。

以上、私のデュアルライフはこんな感じで新年を迎えた。当初は興奮気味で始まったこの生活も3年目を迎え落ち着いて振り返ることが出来る。兎に角、「健康」を崩すと人生に水を差す。それは、デュアルライフだろうが何だろうが同じだ。ただ、ここ南麓にも居があるからこそ、身体と頭とお金を使って「健康」を維持できる環境の中に身を置くことが出来て、「健康」が維持できれば人生の下り坂も楽しめると言える。いずれも時折立ち止まって「止める」判断を入れていくことが我が世代には特に必要だと思う。

<妻と二人だけのお正月 おせちとお雑煮>
・賑やかなお正月はもうないのかもしれないな

photo by S.Nozaki

でも止められないことが一つ。お酒。これは「節する」ことで本年以降は対処ですな。そして、今年は坐骨神経痛を治めてサンフランシスコに行くのだ!

最後、新年に当たり皆様のご多幸とご健康をお祈りいたします。

<多治見に戻るとなかなかの銘柄が>
・これではお酒 止められません

photo by S.Nozaki

<留学中の長男からの便り>
・22年前に彼が通った小学校。懐かしい!

photp by C.Asakura

コメント