Stay hungry, stay foolish

小さな旅
<高台にある公園からサンフランシスコダウンタウンを望む>

photo by S.Nozaki

☆幾つになっても刺さる言葉だなぁ

9月中旬、妻と共にサンフランシスコに住む長男夫婦を訪ねた。昨年末に予定していたものの、坐骨神経痛が悪化して止む無くキャンセルし、治療に専念しながらこの日を待っていた。私は12年ぶり、妻は22年ぶりのアメリカだ。二人とも長男夫婦が健康で充実したサンフランシスコ生活を送っているのを見ておきたかったし、コンピューターが大好きな妻はアップルやグーグルの本社を訪ねることを特に楽しみにしていた。ダウンタウンの治安がかなり悪化しているとの情報があり緊張感は持っていたが、昔から光と影のある国だ。光がより強くなっている今、影はより暗くなるのだろう。確かにダウンタウンの街角では、例のフェンタニルに毒されたような人を何人も目撃した。以前の滞在では、アジア人への差別、いい加減な行政、拝金主義等身をもって経験してきたが、それでもこの国の自由と大らかさと先進性、自浄作用は捨てがたい魅力だった。久しぶりにフリーウェイを駆けているとそんな思いが蘇ってきた。

<テスラで駆けるフリーウェイ>
・アメリカに来た手ごたえがしっかり感じられる

photo by S.Nozaki

長男が通う大学構内の広さと充実度合い、ダウンタウンやピア付近の活気、IT企業のそれぞれの独自の色合い・雰囲気、ナパバレーの壮大さとワインの深み、昔の仕事パートナーとの交流等々、忘れられない思い出となった。定年後「モノより思い出」を実践してきたが、モノも思い出もしっかり残った旅だ。感謝です。

<ナパのワイナリーで長男夫婦・妻と4人で>
・ここに次男もいたらなぁ~

photo by N.S

<いくつもの映画の舞台になったアルカトラズの監獄跡>
・こんな所に収監されたら気が狂う。真面目に生きよう

photo by N.S

観光中に印象に残ったのが、Uberと自動運転WAYMOの利便性だ。Uberはアプリに目的地を入れて検索すれば近くにいる車が直ぐに見つかる。Uber登録の車両ナンバーと顔写真が提示されるので乗車時に照合できるので安心だし、支払いはカード決済。乗車終了後、運転手の評価とチップの請求がメールで届くので評価をしてチップを送る。そして領収証が届く。この評価が運転手のプロフィールに反映されるから良質なドライバーだけに自然淘汰されていく。だから夜でも安心だ。チップを入れた料金は日本のタクシーの1.5倍位の感覚だ。此処ではタクシーはもう見かけない。しかし、日本では業界団体の反対と規制で普及はしないだろうな。田舎にあると便利だし副業にもなるのになぁ。

<夜の街でもUberは直ぐに捕まる>
・こんなに便利だとは思わなかった

photo by S.Nozaki

WAYMOは三都市:サンフランシスコ・ロサンゼルス・フェニックスでグーグルが商用展開中の自動運転車だ。これもアプリで呼べば近くまで来て乗せてくれる。少し遠慮がちな運転だが安心・安全は十分確保されているし、自動の音声の案内は大変分かり易い。いずれ全国へ広がっていくだろうな。しかし、交通手段が充実している都会で自動運転をわざわざやらなくても良いのにとは思う。交通インフラが貧弱な場所・交通弱者が多い場所こそ、こうした自動運転が役立つのではないかな。中国では既に地場メーカー三社が実用に漕ぎつけている。東京でもWAYMOの実証実験が始まったと聞くが、先は長そうだ。トヨタ頑張れ!
導入の時は運転手不足の田舎八ヶ岳南麓でやってくれないかなぁ。いつでも飲みに行ける。「吞兵衛1号」とか名付けて(笑)。

<あちこちで見かけるWAYMO>
・日本はドンドン取り残されるのかな

photo by S.Nozaki

数日の観光を満喫し帰国の日の朝、スティーブ・ジョブズが生前住んでいた家を訪ねた。静かな高級住宅街の一角にある資産家にしては普通過ぎる家だ。違うのは邸宅前の庭に植えられている3本のリンゴの木だ。小説にも描き切れないような仕事人生を過ごし、すい臓癌を宣告されて以降は何よりも家族を大切にしたと聞く。その安らぎの場所がこの家。癌と闘いながら最後までStay hungry, stay foolishの精神は持ち続けた凄い人です。あのスタンフォード大学でのスピーチは魂が震える。

<スティーブが生前住んでいた邸宅とリンゴの木>
・人の気配はある。奥様や娘さんかな?

photo by S.Nozaki

自分は、”Stay foolish, stay hungry”と覚えていたが、彼が言ったのは、”Stay hungry, stay foolish”が正しい。逆だ。確かにfoolishが先だと反骨過ぎてはぐれ猿みたいだ。「自分は未だ未だ知らないことが沢山あると、謙虚にハングリー精神を持って、常識にとらわれずに物事に愚直に挑戦していく」と言う意味で、Stay hungry, stay foolishとなるのだろうと自分なりに改めてそんな解釈をした。そして67歳の私の場合は、Anyway stay survived, and stay hungry, stay foolish. となるのかな。そんな事を考えていたサンフランシスコ滞在最後の日だった。

今回は長男夫婦と昔の仲間と楽しい思い出が心に刻まれた最高に素敵な旅だった。感謝! 一番嬉しかったことは、長男夫婦の元気な暮らしぶり。生活の組み立てには様々な苦労があると思うが楽しむ心を持って挑戦していく姿には親として涙が出るほど嬉しかった。これからもStay hungry, stay foolishの精神で人生を切り開いていってくれるだろう。親も負けていられない。

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