photo by S.Nozaki
☆八ヶ岳サンセット&スターズスカイを楽しむ
お気に入りの場所、平沢峠。初めて訪れた時、ドイツのナウマン博士が此処からの地形を眺めて「フォッサマグナの発想」を得たと知った。フォッサマグナ、糸魚川静岡ライン、大地溝帯、そんな名前を地理か地学で習った覚えがあるが、『ふ~ん、此処に大きな溝があるのか』程度の知識が頭の片隅に残っていたくらいだ。
平沢峠に佇み、3,000メートル級の南アルプスがグーっと盆地に落ち込み日本海まで続いている地形を目の当たりにすると悠久の地球の営みを感じる。日本列島の北東側から下りてくる山脈が此処で西側と不連続になっているのは、長い年月をかけてポキリと折れ、その間に新たな地層が出来た。それがフォッサマグナであり2,000万年位の若い地層だそうだ。なお、富士山はこの新しい地層の中にある。江戸時代まで噴火していたのも頷けるし、これからもその危険性はあるだろう。その地層の東西に1~3億年位前の古い地層が続き、その一部である八ヶ岳連峰と関東山地のかけらがぽつりとフォッサマグナの上に浮いており自分はその浮島の一部に立っている。気の遠くなるような年月をかけた地層の営みが足元から伝わってくる。
このポキリと折れた端っこ糸魚川辺りは海の近くまで山が迫っており、静岡も同様である。このラインに大きな山塊があるため行き来を阻み東と西の文化の違いを生み出したとの説がある。確かに、壁みたいに山が日本海から太平洋まで列をなしてる。昔、このフォッサマグナに沿って日本列島を横断するウルトラマラソンがあったなぁ。
その日本の習俗に影響を与えている例としてはお寿司。日本列島の西側は魚とお米を押して発酵させる鮎寿司や鮒寿司、「酸し」が起源、一方東側は、お米に酢を混ぜてそこにネタをのせる、所謂手早く「酸し」を味わう江戸前方式。発酵型の方が古い。今やこうした食文化は混ざり合っているが、関西に行くとやはり押し寿司が多いのに気付く。他には、新潟の毒消し売りは東、近江の薬売りは西、と言うようにフォッサマグナを挟んだ習俗の違いは調べていくと結構面白い。
<鮎の姿寿司>
・吉野川のものが有名ですね

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中学生の頃は、フォッサマグナの東と西の人が結婚すると血が混ざって優秀な子が生まれると聞いたことがある。言葉はズーズー弁系と関西弁系がある様に人間の血筋もそんな塊感があったのだろうか?東京にルーツを持つ自分はそんなことを意識した訳ではないが、結果名古屋と岡山にルーツがある妻との間に倅が二人いる。まあ、幸いなことに二人とも自分よりはまともでしっかりしているのであながち出鱈目でもないだろう(笑)。
平沢峠に立つとそんな事にも思いが巡りなかなか趣ある時間を過ごすことが出来る。久しぶりにド快晴となったとある日、綺麗な夕陽と星空が拝めるだろうと訪ねてみた。するとびっくり、同じことを考える人が多いんですね。日没の30分前に到着すると駐車場には沢山の人がカメラを持って待機しておりました。老若男女、皆さんマナーが良い、と言うか静かに八ヶ岳の夕陽を待っておられました。私の隣にいた方はわざわざこのために中央高速を駆けてやってきたとか。マニアの方々には有名な峠の様です。
<マニアの方も沢山>
・満を持して快晴の日に訪れたんでしょうね

photo by S.Nozaki
入笠山の方角に陽が沈むと山々は薄いオレンジ色のカーテンに映え出し、そして徐々に夜の帳が降りる。星がきらりきらりと目につく頃、八ヶ岳南麓の清里テラスや清泉寮がポツンと灯り、山頂の山小屋も瞬きだす。これから冬に向けてドンドン空気が澄み渡り、まさしく満天の星空が見える様になるだろう。その頃には車中泊で星を肴に一杯やりながら時間の流れに身を任せてみたいものだ。
<八ヶ岳サンセット>
・人生のサンセットもこう美しくありたいものだ

photo by S.Nozaki
八ヶ岳と反対側の眼下には野辺山の天文台が見える。此処は空気が澄んでいるからこそなのだろう。八ヶ岳ブルーに加えて八ヶ岳サンセット&スターズスカイ、良い感じですな。
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