黄砂と植林

自然(山水緑・動物)
<春が近づくと現れる八ヶ岳イエロー>

photo by S.Nozaki

☆あの人達の努力は報われているのかな?

3月25日天気予報は快晴、のはずだが八ヶ岳は春霞が何重にもかかった様にぼんやりとしている。南アルプスも同様。富士山は霞の中だ。黄砂だ。洗濯物は外に干せない、車の塗装は傷つく、人によっては肺炎を引き起こす。花粉の飛散以上に厄介だ。

飛んでくる元はモンゴルや中国の黄河流域の黄土高原の砂漠。黄色い台地を削る河があの「黄河」の名前の由来になっている。駐在時代、現地の人に聞いたところによると、近年首都近郊では食料確保のため羊の放牧が拡大し、そのため羊たちに植物の根っこまで食べつくされしいまい、乾燥と土砂の流出域がドンドン拡大していた。いわゆる砂漠化だ。その最前線は北京から車で5時間程度の距離の豊寧県まで迫って来て、当時首相をしていた朱鎔基が現地視察した際に、砂に埋もれる民家や農地を見て涙したと伝えられている。

対策は植林により緑のダムを作ること。日本企業や日本人ボランティアも参加して2000年初頭から地元との共同プロジェクトとして植林が始まった。砂漠化をここで食い止めることが目的だ。コツコツコツコツと400万本近い植栽を施し、かなりの成果をあげた。現在もこのプロジェクトは進化して継続されているはずだ。地元の人達、今も頑張っているかなぁ~。

私も何回か植林に参加した。朱鎔基が佇んだ場所を訪れると村のほとんどが砂に飲み込まれていた。彼が宿泊したホテルに泊まったが、一国の首相がこんな貧相なところ(失礼!)で一夜を過ごしたのか、と驚かざるを得なかった。建物の貧弱さはもとより、トイレットペーパーは必要分だけが支給、床はゴミだらけ、と言った具合だ。しかし訪問の都度、現地の方々が宴席を設けてくれて田舎独特の食事が供されるのが楽しみでもあった。特に羊の丸焼きは臭みがなく擦り込んだ岩塩が程よい味付けとなり白酒が進んだものだ。宴もたけなわになると、何故か近所の子供達も集まって来て、テーブルの食べ物を摘まんでいる。一緒に民謡みたいな音楽に合わせて踊った。こうしたディープな中国を体験して、北京・上海・広州だけを見ていると中国の姿を見誤るなと強く感じ入ったものである。

植林した後は木々の間に草が生えるようになる。そこに牧草植え牛を飼えるようになり、それが現地の人達の現金収入につながる。ある農家を訪れた時、そうした収入でCDプレーヤーを買ったと嬉しそうに話してくれた。一方、燃料は未だトウモロコシの茎を燃やしており、このギャップが不思議であった。しかし、どんな面であれ生活向上の嬉しさが実感できているから植林が続いているのだろうと思う。あの豊寧県の農家の人は今頃、車を運転する生活を送っているだろうか?広大なモンゴルや黄土高原の砂漠を森にすることは不可能だろうが、首都に迫りくる砂漠化をくい止めることが出来ていれば本当に嬉しい。

<2001年 植林前>
・一帯が黄色い砂漠

webより

<10年後 同じ場所>
・今も緑が保たれていますように!

webより

 

南アルプスが黄色くかすむ夕焼けを見てふとあの頃を思い出した次第だ。そして山の木々を伐採して設置されている太陽光パネルにため息をつき、そのパネルのほとんどが中国から輸入しているという事実に何とも言えぬ憤りを感じて酒を煽るのであった。

羊の放牧で草を根こそぎ食べつくし砂漠化が進んだように、木々をわざわざ伐採してパネルを設置したことによって思わぬ災害が起こらないことを祈るばかりだ。今のこうした動き、一体誰の生活向上に役に立っているのだろう。加えて、森林整備のための森林環境税一人1,000円。財務省解体デモが起きるのも、うべなるかな。

<南アルプスの「黄色い夕焼け」>
・あと2~3日は酷い黄砂が続きそうだ

photo by S.Nozaki

コメント